
北見市の中心を走る「中央道路」は、現在では市街地を貫く主要な道路として多くの人々に親しまれています。
その始まりは、明治24年(1891年)。網走から北見峠まで延びる約160kmの道として建設されたものでした。工事には網走監獄の囚人が動員され、わずか1年で切り拓かれたこの道路は「囚人道路」とも呼ばれています。道中で200人を超える犠牲者を出した歴史は、端野町緋牛内にある「鎖塚」をはじめ、各地の慰霊碑に今も刻まれています。過酷な労働の舞台であった中央道路は、同時に北海道の防備と開拓を支えた重要なインフラでもありました。

現在の中央道路は、道東と道北・道央を結ぶ幹線道路として姿を変え、北見の暮らしや経済を支える存在になっています。まっすぐに延びる広い道には、開拓の時代を思わせる力強さと、現代の都市を彩る賑わいが同居しています。
市街地を走る中央道路は、商業や交通を支える主要な道路でありながら、開拓の歴史を物語る道でもあります。北見を訪れる人にとって、この道路は「過去」と「今」をあわせて体感できるまちのシンボルといえるでしょう。