
室蘭港に優雅な弧を描く「白鳥大橋」は、全長1,380mを誇る東日本最大の吊橋です。
構想から完成まで約40年をかけ、1998年に開通しました。夜間のライトアップは室蘭のシンボルとして親しまれています。
この橋の特徴は、積雪寒冷地に建設された国内唯一の長大吊橋であること。海上という厳しい環境に加え、風や地震、交通による大きな変形にも対応できる柔軟な構造が採用されています。橋桁には軽量で強度のある「鋼床版箱桁」が使われ、開通から20年以上たった今も地域の交通を支えています。
一方で、こうした特殊な構造は、部材の交換や補修が容易ではありません。そのため白鳥大橋では、劣化が進む前に調査・補修を行う「予防保全」の考え方が重視されています。舗装には寒さや揺れに強い特別な材料が使われ、定期的な点検と補修が続けられています。
道の駅「みたら室蘭」の2階の展示室には、白鳥大橋の設計から完成までの貴重な資料や模型が展示されています。
室蘭を訪れた際には、美しい景観だけでなく、この橋を支える技術や努力にも目を向けてみると、白鳥大橋の姿がまた違って見えてくるかもしれません